低侵襲な胃切開
犬の胃内異物に対する低侵襲な胃切開
ダブルウーンドリトラクター法による異物摘出
犬や猫では、食べ物ではないものを誤って飲み込んでしまう「異物誤食」がしばしば起こります。
異物の種類や大きさ、形状によっては、催吐処置で吐かせることができる場合や、消化管内視鏡を用いて口から摘出できる場合もあります。しかし、異物が大きい場合や、形状的に内視鏡で安全に把持・摘出することが難しい場合には、外科手術が必要になることがあります。
今回、当院ではトウモロコシの芯を誤食した犬に対して、胃切開による異物摘出を行いました。
誤食したトウモロコシの芯は約3〜4cm大で、催吐処置と消化管内視鏡による摘出が不可能であり外科的に胃を切開し、異物を摘出する方針としました。
今回の手術では、人医療でも行われている方法を参考に、ダブルウーンドリトラクター法を用いて胃切開を実施しました。
ウーンドリトラクターとは、手術創をやさしく広げながら、周囲の組織を保護するための器具です。今回の方法では、腹壁の小さな切開創から胃を体外へ牽引し、さらに胃内にもウーンドリトラクターを設置することで、胃の中を安全に観察しながら異物を摘出しました。


この方法の特徴は、従来の開腹手術と比べて皮膚切開を小さくできることです。
今回の皮膚切開は約3cmで、異物は問題なく摘出することができました。


また、手術後の回復は非常に良好で、私も驚くほどでした。
術後の状態がとてもよく、痛みや吐き気など大きな問題がなかったため、手術後約1時間で退院することができました。
↑↑↑麻酔覚醒後30分でここまで元気なのはこっちがびっくりです💦
当院では、腹腔鏡を活用し、犬や猫の身体への負担をできるだけ減らす低侵襲手術に取り組んでいます。
本方法による異物摘出は日本国内でも報告がなく、実施している病院は少ないと思います。
より多くの先生や患者様に伝わるようにコラムや学会発表を通じて広めていければとおもいます。
異物誤食は、時間が経過すると胃から腸へ移動し、腸閉塞や腸穿孔など、より重篤な状態につながることがあります。
「何かを飲み込んだかもしれない」そんなときは、早めに動物病院へご相談ください。
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