犬の胆嚢疾患と腹腔鏡下胆嚢摘出術について

広島市西区のようきペットクリニックでは、犬の胆嚢疾患について、検査結果と全身状態に応じた治療をご相談します。手術が必要な場合には、腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応を検討し、ICG蛍光イメージングとStryker 1788を胆道の確認に活用しています。

胆嚢の病気とは

胆嚢は、肝臓で作られる消化液「胆汁」を一時的にためる臓器です。犬では、胆泥の貯留、胆石、胆嚢炎、胆嚢粘液嚢腫などが見つかることがあります。それぞれ病態が異なり、必要な治療も同じではありません。

胆嚢粘液嚢腫は、粘りの強いゼリー状の内容物が胆嚢内にたまる病気です。進行すると胆汁の通り道が詰まったり、胆嚢が破れて胆汁が腹腔内に漏れたりすることがあります。

症状がなくても、検査結果を確認しましょう

胆嚢の異常は、健康診断で偶然見つかる場合もあります。一方で、食欲低下、嘔吐、元気の低下、腹痛、黄疸などが現れることもあります。

繰り返し吐く、ぐったりしている、お腹を痛がる、白目や歯ぐきが黄色いなどの変化があれば、早めに動物病院へご連絡ください。

経過観察・内科治療・手術をどう選ぶか

胆泥があるという理由だけで、すべての犬に胆嚢摘出が必要になるわけではありません。症状、血液検査、腹部超音波検査、これまでの変化を確認し、経過観察や内科的管理が適切か、手術を検討する段階かを判断します。

胆嚢粘液嚢腫などでは、症状が乏しくても計画的な胆嚢摘出を検討する場合があります。重症化するまで待つことのリスクと、現在の麻酔・手術のリスクを比較し、飼い主さまと治療時期を相談します。

胆嚢破裂や胆管閉塞が疑われる場合には、緊急の対応が必要になることがあります。

腹腔鏡下胆嚢摘出術とは

お腹に小さな切開を設け、カメラと手術器具を入れて、拡大した映像を見ながら胆嚢を摘出する手術です。当院では、適応を見極めたうえで犬の腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施しています。

腹壁の切開を小さくすることを目指せますが、胆嚢を周囲から剥離し、胆嚢につながる管や血管を処理する重要な手術であることに変わりはありません。

腹腔鏡が適しているかは、症例ごとに判断します

胆嚢や胆管の状態、炎症や癒着の程度、全身状態などによって、腹腔鏡手術が適しているかを判断します。開腹手術を最初から選ぶ場合や、腹腔鏡で開始しても術中所見に応じて開腹へ移行する場合があります。

傷の小ささだけでなく、必要な処置を確実に行えることを重視して手術方法を選択します。

ICG蛍光イメージングで胆道を確認

胆嚢摘出術では、胆嚢につながる胆嚢管と、肝臓から腸へ胆汁を運ぶ胆管などの位置関係を把握することが重要です。

ICG(インドシアニングリーン)は、肝臓から胆汁中へ排泄される性質を持つ薬剤です。専用カメラで蛍光を捉えることで、胆道の位置を確認するための情報が得られます。犬でも、ICGを用いた近赤外蛍光胆道造影の研究が報告されています。

当院では、通常の映像による観察にICG蛍光イメージングを組み合わせ、胆道の位置関係を確認する補助として活用しています。

Stryker 1788の活用と当院の経験

当院では、Stryker(ストライカー)社の内視鏡画像システム「1788」を使用しています。4Kの通常画像と近赤外蛍光画像を用い、手術中の組織や胆道を観察します。

2026年6月に公開した症例記事では、腹腔鏡下胆嚢摘出術で1788とICG蛍光イメージングを使用し、胆管の走行を確認した経験を紹介しています。

蛍光の見え方は、投与量や投与からの時間、肝胆道の状態、周囲の組織などに影響されます。ICGだけで胆管の通過性や手術の安全性をすべて判断することはできません。術前検査、解剖学的な確認、術中所見を組み合わせて判断します。

手術のリスクと術後の管理

麻酔に伴う問題のほか、出血、胆汁漏、胆管損傷、腹膜炎や感染、胆道の通過障害などのリスクがあります。重い合併症が起こった場合には、追加治療や再手術が必要となり、命にかかわることもあります。

術後は、食欲や痛み、全身状態、血液検査などを確認します。入院期間や通院・食事管理の内容は、術前の病状や術後の経過に応じて決めます。

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症例記事の手術時間や経過は、個々の症例について紹介したものです。同じ治療結果や入院期間を保証するものではありません。

受診・治療のご相談

胆嚢粘液嚢腫と診断された、胆嚢の異常を経過観察している、手術の時期や腹腔鏡での治療について相談したい場合は、ようきペットクリニックへご連絡ください。

これまでの血液検査、超音波画像、服薬内容などが分かる資料をお持ちいただくと、経過の把握に役立ちます。紹介元の獣医師の先生からのご相談も承ります。

ようきペットクリニック|広島市西区
電話:082-276-5666
所在地・診療時間はこちら

参考資料

American College of Veterinary Surgeons. Gallbladder Mucocele.
胆嚢粘液嚢腫に関する解説(英語)

Larose PC, et al. Near-infrared fluorescence cholangiography in dogs: A pilot study. Veterinary Surgery. 2024.
犬の近赤外蛍光胆道造影に関する研究(英語)

Stryker. 1788 Platform.
1788の画像・蛍光表示機能に関するメーカー資料(英語)

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