犬の腹腔鏡下胆嚢摘出術
ようきペットクリニックは、広島県内で数少ない「腹腔鏡下胆嚢摘出術」が可能な動物病院です。日本全国を見渡してもこの手術を行える施設は限られております。
● 胆嚢の病気とは?
胆嚢は、肝臓で作られた胆汁を一時的にためておく袋状の臓器です。犬では稀に、胆汁がゼリー状になる「胆嚢粘液嚢腫」や、胆泥・結石が発生することがあります。
初期は無症状のことが多いですが、進行すると胆嚢破裂、胆管閉塞、感染などを起こし、命にかかわる重篤な状態に陥ることもあります。
特に胆嚢破裂後の緊急手術では、死亡率が16〜23%、報告によっては30〜40%近くに達することが知られています。
● 予防的胆嚢摘出とは?
胆嚢疾患が悪化してからの緊急手術は高リスクとなるため、病気が重症化する前に計画的に胆嚢を摘出するという考え方で、「選択的(elective)胆嚢摘出」とも呼びます。
● 適応基準について
現在、明確な国際ガイドラインはありませんが、文献報告から以下の症例で検討されます:
超音波で胆嚢粘液嚢腫が確認されるが、症状が軽度または無症状
胆泥や胆汁停滞、軽度の胆管拡張がある(閉塞はなし)
血液検査で軽度の肝酵素上昇やビリルビン軽度上昇があるが重度ではない
麻酔リスクが低く、将来的リスク回避のため早期介入が望ましい
「無症状だからすべて摘出する」わけではなく、慎重に症例を選んで行う手術です。
● 当院での実績
当院では2025年7月に腹腔鏡下胆嚢摘出術の10例目を達成しました。
最新症例では手術時間30分と非常に短く、回数を重ねるごとにチーム全体の熟練度が向上しています。
過去の症例でも、術後わずか数時間で歩き始め、食欲が早期に回復し、当日退院されたケースもあります。
苦手でなければ手術動画をご覧ください
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犬の腹腔鏡下胆嚢摘出の動画📹
● 広島・中国地方での希少性
腹腔鏡手術を導入している動物病院は増えつつありますが、胆嚢摘出を腹腔鏡で行う施設は極めて少ないのが現状です。広島県内で当院のような実績をもつ病院は稀であり、地域のパイオニア的存在です。
● 飼い主さまへ
当院が行う腹腔鏡下胆嚢摘出術は、
傷が小さい
痛みが少ない
回復が早い
安全性が高い
といったメリットがあります。
超音波や血液検査で胆嚢に異常が見つかった場合、症状が進行する前に予防的に摘出することで重症化を防ぐことが可能です。
ご愛犬の胆嚢の状態が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。丁寧に診察し、最適な治療プランをご提案いたします。
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