ICG蛍光イメージングを活用した胸腔鏡下乳び胸手術
今回、乳び胸を発症したワンちゃんに対して、ICG蛍光イメージングを活用した胸腔鏡下胸管結紮術と、乳び槽切開術を実施しました。
乳び胸とは、胸の中に「乳び」と呼ばれるリンパ液がたまってしまう病気です。胸水が増えることで肺が十分に膨らみにくくなり、呼吸が苦しくなることがあります。
今回の手術では、ICG(インドシアニングリーン)という薬剤とStriker1788という最先端カメラシステムを使用しました。
ICG蛍光イメージングを使用すると、通常のカメラでは確認しにくい胸管を非常に鮮明に確認することができます。実際の手術でも胸管の走行を明瞭に確認することができ、結紮すべき胸管を正確に見極めながら、より確実な処置を行うことができました。
ICG蛍光イメージングを用いた胸管の確認は非常に有用だと感じています。胸管を「見える化」することで、より精度の高い手術につながる大きなメリットがあると考えています。
また、胸管結紮術は、開胸手術で行われることもありますが、開胸は胸壁を大きく切開する必要があり、術後の痛みもかなり強くなります。
実はこの子は乳び胸の手術を行う前に、
開胸での肺葉切除を以前行っていて、
その際の術後の疼痛と、今回の手術の術後疼痛は比べ物にならないくらい異なっていました。
胸腔鏡を使用することで、拡大された視野で胸腔内を詳細に確認しながら手術を行うことができ、動物への身体的負担や術後の痛みをできる限り軽減することができるため、乳び胸の手術は胸腔鏡下、特にICG蛍光ガイド下に実施するべきであると考えています。
今回の症例では、胸管結紮術と乳び槽切開術を実施した後、乳び胸水は少しずつ減少してきています。
乳び胸は、手術後すぐに完全に胸水がなくなるとは限らず、改善までに時間がかかることもあります。
まだ経過を慎重に見守る必要がありますが、少しずつ良い方向に向かっています。
一日でも早く胸水が落ち着き、元気な生活に戻れるよう、私たちも引き続きしっかりとサポートしていきたいと思います。
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