猫の便秘に対する新しい選択肢
〜腹腔鏡補助下で行う結腸亜全摘について〜
猫はもともと便秘になりやすい動物ですが、
どんどん便が溜まり、腸がふくらんでしまう「巨大結腸症(きょだいけっちょうしょう)」になると、
下剤や浣腸だけでは改善が難しくなってしまうことがあります。
「何度も病院で浣腸したのにすぐ戻ってしまう…」
「食事を変えても全然出ない…」
そんな猫ちゃんの命を救う治療のひとつが 結腸亜全摘(けっちょうあぜんてき) です。
✅ 結腸亜全摘ってどんな手術?
腸の中でも“太い部分(=結腸)”に便がたまり、動きが悪くなることで便秘が進行します。
そのため、動かなくなった結腸の大部分を切除し、健康な腸どうしをつなぎ直す手術です。
この手術によって、
腸に便がため込めなくなる
自然と便が流れて出るようになるため、
ほとんどの猫ちゃんで排便トラブルが大きく改善します。
🔍 低侵襲で実施できる新しい術式を導入しました
今回当院では、腹腔鏡を用いて結腸亜全摘を実施しました。
この手術は、院長の指導医である自由が丘動物医療センター総院長の朴先生が開発した術式で、
腹腔鏡を用いてお腹の中を拡大して観察しながら操作することで、従来法と比較して大幅に侵襲を抑えることができます。
なんと切開はわずか2〜3cm程度のみ。
(従来の約7〜10cmから大幅に短縮)
▶ 従来法:大きな切開 → 痛み・回復に時間
▶ 新手術:小さな切開 → 体への負担が少なく回復が早いことが期待できる
🌟 この術式のメリット
従来の手術 腹腔鏡補助下術式(今回導入)
7〜10cmの切開 2〜3cmの切開
術後の痛みが出やすい 術後の痛みが少ない傾向
回復に時間がかかる 早期回復が期待できる
傷跡が目立ちやすい 傷跡が非常に小さい
体の負担が少ないだけでなく、術後の生活の質(QOL)の向上が期待できる点も大きな利点です。
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一般的な開腹手術では、お腹を大きく切開しますが、当院では 腹腔鏡を使い、最小限の切開で手術を行いました。
切開はわずか約3cmほどで体への負担が少なく、 術後の痛みが少なく、回復が早く、歩き出しもスムーズといった特徴がありました。
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「大きな手術だけどできるだけ猫ちゃんの負担を減らしたい」
そんな思いから、腹腔鏡を取り入れた低侵襲(=体に優しい)手術に取り組んでいます。
術後の経過について
結腸を切除した直後は、
・便が柔らかい
・トイレに行く回数が増える
などの様子がみられます。
でもご安心ください。
これはほとんどの猫ちゃんで一時的なもので、
数週間~数ヶ月かけて腸が慣れてくると、
徐々に普通の便や生活リズムに落ち着いていきます。
「便秘で苦しむ生活」から解放され、
食欲や元気が戻ってくることが多い治療です。
✅ 飼い主さまへ
長引く便秘は、命にかかわる病気に進行してしまうことがあります。早めの受診が大切です。
・何日も便が出ていない
・食欲が落ちている
・吐く、元気がない
・何度も便意はあるのに出ていない
こうした症状がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。
症状や体力、生活に合わせて、内科治療から外科治療まで最適な方法をご提案します。
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